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漆の話

 
漆掻き

【掻き鎌】

左の写真の鎌の呼び名は、「掻き鎌」(かきがま)で、漆を採取(かきとり)するために、目立てをする道具です。
通常一本の木に対し20〜30センチ間隔に10か所ぐらい水平の傷を付けます。

漆掻きの本番はこの目立傷に添って五ミリメートル程度のの間隔で順次傷を付けながら上昇または下降していきます。

10年以上生育した漆の木に傷を入れて採取する漆液の量は、一回で〇・五〜一・〇ミリリットル程度で、一本の木に対して5日に1度、8〜10ヶ所に傷を入れて漆を採取します。
1年間に6月中旬から11月下旬の約150日間作業をし、それが終わると伐採します。(翌年には切り株から孫生(ひこばえ)という芽が出ます)
従って、一本の木から200ミリリットル(牛乳ビン1本)になります。

縄文の漆 漆は英語でジャパン 漆の乾燥 漆の保管 漆かぶれ 漆黒 漆の将来性

【縄文の漆】

漆が塗料として使われたのは古く、縄文前期約五千年前頃(漆塗り櫛・・福井県三方町鳥浜貝塚)と言われ、この頃の発掘された漆の種子のDNA鑑定の結果、日本原産の可能性が出てきて、漆技法の「中国起源説」をも覆す可能性が出てきました。(毎日新聞1999年3月21日付け)

漆掻き

 

【漆器は英語でジャパン(Japan)】

「陶器のことをチャイナと言い漆器のことをジャパンと言う」・・和英辞典にも載せて有ります。漆は日本を代表する文化でしたが、1950年代頃までは、日常身の回りの生活用品にも使われて来ました。
しかし、合成樹脂にとって替わられてしまいました。
漆は塗料としてだけでなく、接着剤としても優れた機能を持っています。
私も色々塗料を試してみましたが、漆が一番良いようです。・・花は桜よ、塗料は漆、桜漆は国の華(小唄の一部)

幹漆花器

 

【漆の乾燥】

漆の乾燥には、温度と湿度が必要で、冬、乾燥の強い関東地方での漆塗りは、なかなか大変です。
漆は乾燥が進むにつれて、透きとおって、風合いが出てきます。
また、木の水管などに入った漆だまりは黒く見え、私の好きな景色です。
人工漆とは違うところです。

漆花器
 

【漆器の保管】

長い期間仕舞う時は、カビが生えないように陰干しをしてから仕舞い、年に一度ぐらいは陰干しをした方が良いです。
私の作品は、仕舞い込まないように、デザインで工夫して汎用性をもたせてありますから、一年中楽しんで下さい。


 

【漆かぶれ】

乾燥した漆はかぶれませんが、完全に乾燥するには数十年掛かると言われていますので、稀にかぶれる人がいます。
私は、油断してかぶれた時は、良く洗って二〜三日かゆみを我慢し、十日もすると治ります。(ものの本によると医者に掛かっても、そのくらいの期間掛かるそうです)
コップ一杯の水に生漆を一滴たらして飲むと、胃酸過多が治ると言われている位だから。


 

【漆黒】

漆黒は、『漆黒の髪』『漆黒の闇』とうに使われ、漆のように黒くて光沢のある様をいいます。
黒色は太陽光線に当てて見ますと優劣がはっきりします。つまり黒色度が低い程、灰色ががってくるのです。

漆黒に勝る黒はないといっても過言ではないでしょう。

黒漆は、生漆に鉄粉(釣り針や縫い針の加工粉が良いとされている)混入して、ウルシオールと鉄の反応によって作ります。


 

【漆の将来性】

漆は何千年もの耐久性を持つ丈夫なもので、耐水性・耐蝕性(司馬江漢は漆を使って西洋のエッチング画を再現しました)に優れています。
また天然素材の漆は再生産が出き、石油とは違って未来永劫手に入れることが出来ます。
二十一世紀の塗料と言っている人もいます。


漆を使用して作成した銅版画(エッチング画)
三囲之景:司馬江漢:天明7年(1787年)
三囲之景

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